読了 : 数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

ついにゲーデル不完全性定理ですよ。相変わらずものすごく丁寧に、1ステップ1ステップ解説を進めるので非常にわかりやすいのだけど、この話をこの粒度で書くために積み上げてきたものがどんなものだかを考えるともう脱帽するしかない。今回の話で思い出したのは「天才 柳沢教授の生活」のある話で、本自体はたぶん実家においてきてしまっているのでいま手元にないのだが、適当に検索したところ、タイトルが「ソネット83番」であることが判明。
……ほかの学生より明らかに理解のスピードが遅いある学生がいる。その学生はある文学部の教授に何回となく同じテーマのレポートを提出するが返されている。柳沢教授の講義を受けていたその学生は、あるとき教授のところにいて一年前(半年前?)だかの講義の内容について理解出来たことを話し、教授はその学生に研究者としての才を見いだす。彼とレポートのやりとりを続けている文学部の先生と彼について話をしていて、「研究者に必要な資質は何か」を問う二人。文学部の教授曰く「自分が納得するまで決して前に進もうとしないことだ――」
という話。数学については言うに及ばず、こと論理についての内容であればこの言葉はなおさら重みを増す。論理の一つ一つ、根拠の一つ一つの明確な意図・意味を理解して先に進むという意志の力。ああ、俺に足りなかったものだな、と。そこでもう一段深いところまで追いかける意志を持ちきれなかったのだなあ、と今になると思う。先を急いで表層的な理解でわかったような気になってしまうのだよなー。高校生くらいの俺に読ませてやりたいよ。15年くらい早く出版されてればなー。
さて、もう何年も前に半分くらいまで読んで保留してしまっている GEB 本をもう一度読み始めてみようか。何か先に進めなきゃイカンなという気にさせる本でした。

それにしても、村木先生が毎回秀逸。なんというワイルドカード