自動消滅オプション

睡眠時もしくは睡眠導入時における自我の夢中遊行状態ではしばしば日常とても想起されないような発想が想(創)発されるものである.私の場合,いざ眠りにつかんとするとき死をイメージすることがある.意識が絶たれるという連想,このまま目覚めないのではないかという恐怖,あわよくば(?)自殺願望があるのかないのかはむしろわりとかなりどうでもよいが(というかまったく無いが),死ぬことがわかっていたらこういう準備をしておきたいものだと考えるのはおそらく無害かつ無意味な思考訓練であろう.などと前書きをダラダラと並べ立ててみる.実際,本題は前置きにもましてどうでもよいことになるであろうことを前もって予告しておく.

これは以前に今は無くかつてあった某所にて若干述べたことだと記憶しているが,私は,死亡もしくは自意識による活動が不可能となる場合には,私がさらした過去の記録,即ちここで記した過去の思考の断片をできれば消去したいと考えている.そもそもこの場所に記録している私の一面はソレ用に装った一面でしかなく,それが死後私のあずかり知らぬところで私を知るがソレ用の一面を知らない人にさらされるというのはかなり恥ずかしく,それはすなわち一部の友人知人に向ける顔と親兄弟に向ける顔,そのほか場合によって接する人々に向ける一面一面とが必ずしも一致しないことによる矛盾をさらすのを避けたいということでもあろうか(何故疑問系で終わるのか).ところで,なぜそのような記録を作るのかというとそれは自らが自らの過去を振り返るための記録というスタンスが存在するからである.……ここまで諦めずに読んでしまった貴方は前のパラグラフの末尾に示した予告を再び繰り返しておくとよいだろう.あまり失望させたくはない――さて,いよいよ本題である.

友人の管理するサーバであればお気楽に消していただけたであろうが,さすがに第三者機関によって保存されている場合そうもいくまい.ということで考案したのがタイトルにあるとおり,「自動消滅オプション」である.たとえば某フリーメールのように一定期間ログインがなければ退会扱いされ,コンテンツが消滅するオプションだ.007 よろしく「なお,このブログは一定期間更新がなければ自動的に消滅する」のである.

如何だろうか.事前の警告が役に立ったことを筆者は信じて疑わない.恥ずかしすぎて「は○なダイアリー日記」にトラバを打ち正式な要望として伝える勇気なんか微塵もわきやしない.ただ,そういうオプションがあった場合私は利用するだろう.単純に言えばむしろ「三日坊主は去ね」オプションである――なんと排他的な名称であろうか.ともかく私は,私の死後,ここに記した記録が遺書,遺品,もしくは墓所のような扱いに堕することに激しい抵抗がある.何故かはよくわからない.その理由を掘り下げて考えてみるのもまた一興かも知れない.

それにしてもしかし,根本的に Internet Archive などのサービスや Google cache などの存在を無視した考え方ではある.一度ネット上で公開したものは基本的に消去不可能であることを忘れてはならない.感情に任せて暴走するのもほどほどにしなければならないことを改めて自戒しておく(が,後に見て面白いのは過去の感情の動きであること間違いないであろう.そういうものはプライベートメディアで行うべきなのはわかっているが……).むしろこの記事そのものが当の暴走である以上,その自戒が自身においてどの程度効力を為しているかどうかを冷静に考えてみる必要がありそうだ(以後ループするので省略).