読了

書き下ろし短編集。最近こういうの増えておもろいのだけど、これを読んでいるとおもしろいと思った作家さんのほかの作品とかに食指を伸ばす隙間がなくなっていくという。作中解説でも書いてあったけど、牧野作品〜円城作品〜飛作品の流れがすごく特徴的。テキストとか言語とかを中核に自己言及的な話がくるって、本当に狙ってないのかと訝しんでしまうくらい。飛さんの作品は相変わらずグロきれいでとてもよかった。あと最後の伊藤さんの作品は、これからすごくおもしろそうなのだが、これで絶筆とは…本当にもったいない。なんて書いておいて、ちゃんと作品読んでいないのでこれから読もう。文庫出たしね。

創るセンス 工作の思考 (集英社新書 531C)

創るセンス 工作の思考 (集英社新書 531C)

「自由をつくる…」の姉妹編、といっていいのか。MLAの何かの話で、屋根の上にものをあげる職人さんの動き方について「力学的センス」というような話が(出典をちゃんと確認した訳じゃないが)あったように思うけど、その辺の感覚の話。エンジニアとか職人的な仕事、何というか、実際に手を動かさないとわからない感覚について。確かにこれは説明できないわ。
説明できないけど、たとえば大学で実験の TA やってたときには明らかにそれがある人とない人の違いが見えた。どう見てもこの作りだとここにすごい負荷がかかるんだけど、全く補強していないとか、この組み方じゃ力が逃げちゃうよね、とか。でも説明しても理解されないのでとりあえず失敗してもらってた。仕事の中でも、「いやそういう動かし方はできないよね?」というのが想像できるかどうか、みたいので時々感じることはある。物理層を扱う仕事だと、理屈とか知識とかじゃなくて、実際の現場で何をどう配置してどういう手順で何をやるか、とか、道具の使い方、とか、言語化できない、あるいは体感しないと理解できない何かがある。そんなわけで、こういう感覚に焦点を当てて書かれた話はとても貴重だと思う。

さっき読み終わった。いやーこれすごいおもしろくなったよ! よくこんなややこしいこと考えたなと。3巻がたのしみ。