読了: 南極点のピアピア動画 / 野尻抱介

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

ようやく読んだ…面白かった! もっと早く読んでおけと…。

以下ネタバレあり。

まずは冒頭、表題作「南極点のピアピア動画」は、ここまではまだ「大風呂敷と蜘蛛の糸」の流れを継承する野尻作品らしい話で、ああーこういう話になるのかーと。オープンソースハードウェアと自己増殖機械がくっつくとこういう流れで膨らんで行くのかとかうむうむと思いつつ読み進めていたのだが。コンビニ入店音から始まって軌道エレベーターにすっ飛んだり、ボカロでクジラと会話してたらファーストコンタクトしちゃったりする話になるとは思わないよなあ。

それにしてもまあ、雑多な…というか通常どうみてもただ独立して個別に起きている複合的現象をここまで物語としてまとめるっていやあどうよと。アレにつかっているほど現実の延長線上から入っていけるんだけど、ある点で飛躍していくんだよね。ちょっと飛躍して、でも飛躍したらこういう流れはありそうだよなあというのがあって、また飛躍して…。で、最終的にそうなっちゃいますかというのが。これがまあ楽しかった。こういうと語弊がありそうだけど、なんというか、あの下世話なノリというか、ベタなネタの仕込みとか、飛躍に対して地べたを思い出させるような作り方がすごくうまいのはさすが先生仕事してくださいとかいわれているだけあるなあとかつい思ってしまったり。(そういうベースの素養とか感覚がないとノリにくい作品なのかもしれないけど) ちょっと楽観的かなとか希望的観測かなというのはあるにせよ、今の延長線上にある発想としてはすごく読ませる内容でございました。

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

入門編として。いやあ「ふわふわの泉」とか作中引くなら復刊しませんかね。*1

不全世界の創造手(アーキテクト) (朝日ノベルズ)

自己増殖機械というと個人的にはこれ。

さあ。これでようやくピアピア動画関連のネタバレあり記事とかそれこそニコ動の関連動画とか見にいけるぜ…。

*1:いまみたらマーケットプレイスでついてる値段とかちょっとおかしいよな。