換骨奪胎

現実では聞いたことがないけれどもフィクションでよく聞く慣用句で「怒りで人が殺せたら」というような表現がありますが(いずれにしろよくは聞かないか),この「怒り」の部分を「眠気」に換えると面白いことになりそうです.ええ,眠いです.今日は飲んでないです.


「眠い」
「毎度のことですね」
「眠気で人が殺せるとしたら,既に辺り一帯血の海だよ.目に浮かぶようだ.君は原形をとどめていない」
「?」
「わからない? たとえばドラえもんの『ネムケスイトール』が実弾を発射すると考えてみたまえ.まあ別に物理的な方法に限定する必要はないのだが.この例の場合私はもうラ○ボーも同然」
「……いつにもまして眠そうですね」
「虐殺スプラッタ確定なのはいま既に目の前の視界が不確かだからなのかもしれない.眠気と戦闘能力が比例するとしたらここに居る人のなかで最も眠い人が生き残るわけか.だとするとここで世界の終わりが来ても俺は生き残るな.次世代に残る生物は私とゴキブリだけだ」
「スルーですか.せめてクマムシくらいにしてください」
「たとえば5秒あれば前後不覚になれるくらい眠かったとして,次に私を観測したときに起きている確率と寝ている確率が50%に達するとすれば,量子力学的に考えて『私は1/2寝ている』と捉えてよいのだろうか」
「その前にまず『寝る』という状態を定義しなければいけませんね.目が開いていて質問に返事を返すというのを起きていると捉えればそうかもしれないですが」
「ああ,例えば特定のパターンの脳波が見られる状態を寝ている,と定義するなら私は既に寝ているというわけか」
「そう.となればおそらく不確定ではなく,もう単に『寝ている』」
「わかった」
「何ですか」
「家に浸るから寝るなんだ」
「偏が違います」


勢いだけで書いた.吉と出るか凶と出るか.